大阪ウォッチング10

2016.05.22

大阪民主新報5月22日号への投稿です。
タイトルは 震災に必要ない「緊急事態条項」です。

ウォッチング10

テキストは以下の通りです。

4月14日の夜に発生した熊本地震。大分にかけて九州を横断する形で断層が動いている。そんな思いを持たれた方も多いと思います。私は、東日本大震災から5年経過した今年の3月末に南相馬市での「森の長城プロジェクト」への参加をきっかけに東北を訪ねました。市民植樹祭に参加した後、三陸沿いを北上して最後は青森県までレンタカーで走ったものです。

その日から僅か半月余りで大きな前震に続く本震が熊本を襲いました。震災で亡くなられた方のご冥福をお祈りすると同時に、大きな被害を受けられた皆さまにとって復興が一日でも早く進みますことを心から願っております。

今回の震災は、多くの専門家ですら予見できなかった「前震」の大きさと16日深夜の「本震」により、人的被害も広がったことが異例ずくめでした。日本列島が火山帯に位置し、過去に多くの天災に見舞われた土地であったことを思い知らされました。

東日本大震災を大阪市長時代に経験したことは、この連載でも触れ続けている「公共」の役割とは何かという大きな課題を与えられたきっかけにもなりました。「自助・共助・公助」という言葉は皆さんもご存じでしょう。大災害の際に、まず自らを助け、次に地域の被害状況に応じた身近な協力体制、そして公共は残念ながら最後にその力を発揮するという現実です。

阪神淡路大震災以来、日本の災害ボランティア活動の定着は目を見張るものがあります。今回も多くのボランティアの方たちの懸命な動きも報じられています。一方でこれを機に「緊急事態条項」を憲法改訂案に入れるという話が持ち上がっていることに大きな危惧を持っています。

多くの役所本体の被害も伝えられる中で、被災者がグラウンドで一夜を明かしたり、車の中で避難生活をしたりしていることが伝えられています。発災当初、なぜ建物内に避難しないのかという政府側の話が伝えられたのに対し、「建物内こそが危険な状況である」ということがわかるのは「現場」です。緊急事態に際して一番状況が分かるのは現場だという当たり前のことすら政争の具にするつもりなのかとあきれてしまいます。  東日本大震災発生直後、被害を受けていないあらゆる自治体から専門集団が被災地めがけて一斉に動いたのは、「憲法」に規定があるからではなく、いのちと暮らしを守るという本来の自治体の使命を全うするために動き、監督官庁からの要請はあったにせよ、適材適所に送る判断をしたのは多くの自治体の「現場」だったことを忘れないで頂きたい。

大阪スポットの写真コメント

深江の菅田(大阪市東成区)
市民協働については、東成区の人たちに教えてもらいました。駐輪場整備や地域の繋がりを大事にする試み。中でも菅田保存会の皆さん。行政だけでは公園の中の畳半分しかなかった菅田が地域の方の好意で子どもたちの菅刈りもできるほどに。