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「大阪アースダイバー」から呼びかけられて 2015.06.23

書棚から「本」が呼んでいる…そんな感覚を持たれたことはありませんか。実は中沢新一さんの「大阪アースダイバー」から「呼びかけ」られました。

私たちは「大阪市を潰さないで」をキーワードに、いわゆる「都」構想の実態を訴え続けた活動を展開しました。そしてそんな思いに駆られた人たちの自然発生的な力で、圧倒的な資金力と人気をバックに、虚構を高く売ろうとした維新の会の野望をくじくことができたと思っています。

とはいえ完全に民意が分断されてしまった結果を受けて、今後の大阪を考えるときに様々な書物から知恵を貰おうとアンテナを張っている日々です。

「大阪アースダイバー」のP.310「エピローグにかえて」の文章をご紹介します。

現在の大阪―資本主義と疲弊と題された中に、こういう記述がありました。

中沢さんは大阪の空洞化に触れた後、「その大阪の空洞化をさらに加速しようとしているのは、新自由主義グローバリズムです。この波が大阪を襲っています。グローバリズムの拠点が東京につくられているために、大阪の企業も本店を東京に移していっている。それが大阪に経済面から見た疲弊をもたらし、大阪を危機におとしいれているのです」

このあとに維新の会が、すでに限界が明らかになった新自由主義の野望の最後の反撃として、大阪活性化のために徹底した開放を主張し、若者たちの支持を集めているようだが、そうなったら近い将来、その希望とは全く逆の結果をもたらすこと。本来大阪的ポピュリズムは権威が嫌いで、地べたから這い上がってきた人間に共感を抱くので橋下さんはうってつけのイメージを押しだしていること。

以下再び原文引用します。

「しかし問題は、現在大阪に疲弊をもたらしているものが、これまでの大阪のポピュリズムを突き動かしてきたものとは異質な原理であるという点です。橋下さんは、自分の背後で動いているのが、「大阪の原理」とは異なることを知りつつ、それに乗ろうとしています。

しかしどうも最近「大阪のおばちゃんたち」はそのことに少し疑問をいだきはじめているように感じます。これでいいのだろうかと思い始めています。だからもう少し時間が必要なのでしょう。もう少し時間が経てば、かならずや強靭な「大阪の原理」「大阪の理性」が再び動き始めるはずですから。」

2012年10月発売の「大阪アースダイバー」(講談社)には普段、私たちが暮らしているこの街の下に眠っているもの、断絶してしまった記憶をよびさますかのような記述に溢れています。

今回の結果が強靭な「大阪の原理」「大阪の理性」の再始動であることを祈らずにはいられませんし、そのために何ができるのか。焦らずじっくりと眠っている遺伝子に働きかけることで、「分断」という現象だけを捉えるのではなく、大阪のことを考えた結果であり、それを縫合することから新たな「自治都市」が生まれると信じます。

earthdiver

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