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現代ビジネス特別寄稿 2015.04.03

さる3月25日に現代ビジネスに寄稿した内容を、現代ビジネスのタイトル通りにアップさせてもらいます。

「私はなぜ、橋下徹市長を訴え、動画削除を求めるのか」

橋下市長が懸命に論点をずらされようとしている

3月23日に高橋洋一氏が現代ビジネスの「ニュースの深層」に寄稿された「平松前大阪市長が橋下徹大阪市長を告訴」という記事を読ませてもらいました。

その投稿自体は高橋氏がご自身の連続シリーズの一つとしてお書きになったものであり、私はそれに対する反論を展開しようというものではないことをまずご承知置き頂きたいと思います。ただし、この記事で展開されているお話は、橋下市長が懸命に論点をずらされようとしているものを補完する意図を持って書かれているとしか思えませんので、名誉を棄損され続けていると訴訟に踏み切った当事者として「本筋」をきちんとお示ししたいとの思いから書かせていただきます。

現代ビジネスでは市長在任中の2010年12月から「永田町ディープスロート」にインタビュールポを5回連続でアップして頂いたご縁があることからこういう機会を与えて頂きました。(現代ビジネス内ページ検索で「もうひとつの大阪」を検索すると全て残っています)

現時点(3月25日)ではあまり多くのメディアが提訴自体を取り上げていない状況であるにもかかわらず、こうした機会を得ることができたのは、大阪市の財政特別顧問をされている高橋氏の寄稿により実現できたことと、ある意味感謝いたします。

高橋氏は経済学の専門家ではあっても、名誉毀損罪の構成要件については当然ご存知であろうと思います。やむにやまれぬ気持ちで、周囲と相談し私にとって初めての訴訟提起をすることが、どれだけプレッシャーになるのか。去る3月20日記者会見した際の私の代理人、崎岡良一弁護士の冒頭の言葉です。

「橋下徹現大阪市長による前市長平松邦夫氏への批判、揶揄が余りに度が過ぎており、しかも事実に反することで平松氏の名誉を著しく毀損するような言動が繰り返されております。しかもそれを街頭演説等に止まらず、橋下氏が代表を務める大阪維新の会のホームページに動画を掲載し、多くの皆様が閲覧、視聴できる状態におくなど違法な名誉毀損行為を継続しております。かかる行為は、政治的主張、政治的活動の域を超えた違法な人権侵害であります。逡巡する気持ちを乗り越えてでも提訴に踏み切ったことの事実を知ってもらいたいと思います。」

私が違法公金支出をやったかのように喋る橋下市長

そもそも名誉棄損に当たるかどうかは、司法が当方の主張をどう判断するかであって、その主張がどういったものか、またなぜこの時期に繰り返しなされているのかという点を抜きにしては語れないと思っております。以下、告訴状の内容などを引用しながら書かせていただきます。

いわゆる大阪都構想「大阪市の廃止・分割構想」を何としてでも進めたい橋下市長を始めとする維新の会はこの間、大阪市を中心に精力的にタウンミーティング(以下TM)を続けています。

その橋下市長がTMで複数回発言している内容を知ったのは3月11日頃でした。「町内会に平松さんの選挙の時に現金100万円配られたのご存じですか。領収書なく配っています。どのように使われたのか全く分からない。全町内会に100万ずつ配っているんです。」(3月7日TM、告訴状事実1から引用 )というまるで私が選挙の時に違法な公金支出をやったかのように喋っている映像でした。

調べてみると3月9日のTMでも「3年前の大阪市長選挙。僕と平松さんが戦った大阪市長選挙。町内会に現金100万円領収書抜きで配られています。皆さん税金で。使い道わかりません。領収書求めずに役員の方に(一部の方と後に言い換えているが)全部配っています。(中略)平松さんの時はよかった。領収書もなく100万円配られて」

(告訴状事実2から引用)

こうした内容の動画が、維新の会のホームページに流され続けており、その行為自体も名誉毀損であると訴えたものです。

私はTMでの発言自体もそうですが、特に聴衆の反応までもが聞こえる動画を確認し、放置できない思いが強くなりました。多くの聴衆がこの発言を驚きをもって聞き、「事実」であると捉えられた印象が残りました。在任中、巨大都市での「市民協働」というテーマに積極的に取り組んだ中で、意見の違いを乗り越える動きを目指しました。しかし、この一連の発言はそうした市民を分断するための煽動であると恐怖を感じ、下記のメッセージを記者会見席上で発表しました。

「地域の皆様を愚弄し、善意の人たちをも分断する」

「この発言は、私だけの問題ではなく、地域を何とか守りたいと市政に協力してくださった多くの地域の皆様をも愚弄するものであり、市政に協力されている善意の人たちをも分断する結果を生むことになるという側面も看過できません。

この3年間、あらゆるところで橋下代表から揶揄され続けた私です。一方で私の在任中の動きを分かってくださる方も数多くおられると信じ、そのことはこの間の、住民投票に反対票をという街頭活動を通じて実感もさせていただいております。

今回の発言を放置することは、単に大阪市を廃止・解体したいという維新の会の思惑を広げるだけでなく、自らの街を自らの手でを合言葉に活動してくださっている多くの大阪人を馬鹿にしたものであるということをわかって頂きたいという側面もあることを付け加えさせていただきます。」

全国の注目を集める、歴史ある大阪市を「廃止・5分割」しようという住民投票を何が何でも勝ちたいという意図から、日本維新の会元共同代表、現在は維新の党最高顧問、大阪維新の会代表、大阪市長、そして弁護士という肩書を持つ橋下氏が、公衆の面前で繰り広げる演説が、どれだけの影響力をもつのか。

直近に迫った4月12日の統一地方選挙での維新の会の議席獲得のため、そして5月17日の住民投票で「賛成」を得るための作戦であり、その内容を信じ込まされた市民が間違った選択をしないためにも、早急の措置をお願いするため本日、流れ続けている維新の会のホームページから当該動画の削除を求めるなど一連の仮処分申請を行います。

今後、本件は司法にゆだねられますが、誰が見ても前述告訴事実1の内容「町内会に平松さんの選挙の時に現金100万円配られたのご存じですか。領収書なく配っています。どのように使われたのか全く分からない。全町内会に100万ずつ配っているんです。」が示す、まるで私が平成23年の市長選挙の際に選挙民である市民の方々を買収しているという印象を与えることは明らかだと思います。

これが「無理筋」であるなら、今は一市民として、大阪市で生活している個人として、前市長であるということから繰り返される誹謗中傷に耐えねばならないのでしょうか。私に人権はないのでしょうか。

以上が3月25日の現代ビジネスでした。

なお、私がこれを書くきっかけになった3月23日の高橋洋一氏の記事はこちらです。

平松前大阪市長が橋下徹市長を告訴。一見「無理筋」の提訴に踏み切った理由は2つありそうだ。

 

[Category:コラム,名誉棄損訴訟