様々な思いを後にして2016年が去っていった。
SNSの世界は自分が望む情報に偏ってしまうのは仕方がないにしても、私が目にする中で安倍総理を評価する人は殆どいない。勿論、目ざとく株価の変動を見越し、突っ込んで大儲けした人は別にして。
ところが世論調査なるものをみると、相変わらず5割を超える支持率を誇っている。私がいわゆる「世間」から乖離してしまっているのだろうか。去年の夏に、あるパーティでご一緒した人の発言。
「安倍さんは今までの総理と全く違う。本当に良くやっている」というもの。
少しだけ反論を試みたが、一般に流れているニュースや株で儲けを出している方からすると、馬耳東風でなんの力もなかった。
大阪ではそれに加えて「維新の会」の力がますます堅固になっている。中央での安倍総理と会談する維新の会の顔ぶれを見ていて、補完勢力というよりもむしろ政権に都合のいい打ち上げ花火の仕掛けを請け負っているかのようにも感じる。
地方自治という観点からみると、大阪の現状は中央集権志向の安倍政権にとって非常にありがたい存在なのではないか。大阪単独のテーマについて、国の許可がいるものなどは、よほど極端な利益相反がないかぎりお目こぼし的に認めて、「実」を取りにいく。地方議会を牛耳っている大阪維新なるものを取り込むことで、中央の思いを地方で実験するには絶好の場所である。
なぜ、こんなことになったのか。地方議会が市民の思いを代表する人たちが多数であれば、首長が誰であれきちんと対応できるシステムが二元代表制。ところが大阪では既にその動きは2011年のダブル選挙の時以降封じられている。さらに比較的多数の大阪市民がそこに違和感を感じていない現実がある。
私はこう思う。
まだ先になるが、2019年の春の統一地方選挙で維新の議員を落とせばいい。いくら市長が頑張っても、大阪維新と公明で過半数を取れないようにすればいい。民主主義の下で好きなようにやってきた人たちの勢いを削ぐにはそれしかない。
ところがここに「大阪問題」といっていい状況がある。それは政権が地方議会に与える影響である。あの、柳本・栗原で戦い、現知事・市長に惨敗した一昨年のダブル選。大阪では「反維新連合」として戦わねば勝てる見込みのない選挙を、自民党府連が共闘を否定する発言をした。自民党以外の応援団の力を削ぐには十分だった。
負けにいったという「うがった見方」は、ダブル選挙が終わった翌日に安倍総理が大阪維新幹部と面談、談笑する姿を見せられ、苦々しい思いをした人たちにとっては「確信」に変わるに十分だった。そこまであからさまに負けに行ったのか。まぁ安倍政権を支える中央の自民党というのはこの程度のものかという諦めにも似た苦い思いを噛み締めた人は多いだろう。
外野からではあったが、去年の参院選で私は野党共闘を訴える陣営を応援した。この間の安倍政権の暴走ぶりは、戦後民主主義のもとで育った私にとっては信じられないことの連続で、「民主主義」なるものの怖さも感じた。さぁどうすればいい。
大阪ではあのダブル選以降、ご本人の思いは別にして2019年の市長選挙にもう一度柳本さんを推そうという動きが地道に進められている。私自身も「市長にはこの人」と思って応援しただけに何とか維新から大阪市政を取り戻して欲しいと思う。
この間、多くの民営化議論が市会で行われ、市民のためにというよりも「思いつき」に近い政策が議会の多数を得た勢力の下で進められている。それに一定の歯止めをかけてくれたのは共産党と自民党大阪市会議員団である。そして共産党だけではなく、自民党市議団が市内各地で積極的に勉強会を開いている姿には頭が下がる。
安倍政権の下の自民党という「縛り」がどの程度なのかが私には分からない。そこがもどかしくてたまらない。前回のダブル選の応援に自民党の稲田現防衛相がきた時の違和感が甦る。誰か毒消しを教えて欲しい。
地方議員の力はたいしたことないと自ら位置付けるのか、地方自治の本旨を実現するために国会議員の下部組織的な動きではないと挑戦状を叩きつけるのか。元々自民党市会議員団は一枚岩ではないし、そこまでを求めるのは無理なのだろうか。でも、大阪市を愛し、大阪市が、誇り高く「住み心地よき都市」となるために力を注ぐために市会議員になろうというのではないのか。
大阪市民は激烈な「住民投票」を戦った。その際に、今までどんな集会にも顔を出さなかった人たちがあちこちから湧き出てきて、「大阪市の存続」を体を張って守った経験を持っている。今の反維新の市会議員らだけでは足りないことは、一昨年春の統一選で自民党が維新を駆逐するだけの態勢すら組めなかったことをみても明らか。野党第二党の民進党は影すらないのが大阪市会の現状。
そこで、真の「市民ファースト」の議会を作るために、市民の側からこの人を「市民代表」として市会に送りたいという動きを起こし、それを広げることができないだろうか。政党や会派に拘らず、「市民代表党」という枠組みで2019年春の大阪市会議員選挙を戦ってくれる陣営ができれば。
そこから日本の地方自治の歴史が新たに書き換えられる。そんな初夢を見たいし、正夢になって欲しい。