大阪ウォッチング5
2016.03.13
阪民主新報掲載の3月13日(日)大阪ウォッチング第5回の原稿です。いつものように画像のあと、テキスト版を貼り付けます。
タイトルは「街に流れる先人の知恵」。写真は大阪天満宮です。
大阪ウォッチング5
「街に流れる先人の知恵」中央では民主党政権が誕生したときの大きな流れや、その後のすさまじい「揺り戻し」とでもいえる自民党と公明党の連立政権が強引ともいえる手法でこの国のありようを変えようとしています。
では地方自治についてはどうでしょうか。「地方分権」や「地域主権」という言葉がもてはやされた時もありましたし、いまは「地方創生」という言葉の下で中央主導の政策がすすめられています。
憲法の規定する「地方自治」の本旨とは「住民自治」と「団体自治」の二つ。日本ではこうした「自治」というものに「お任せ民主主義」とでもいえる流れがありました。高度経済成長の下では「任せていれば大丈夫」的な市民感覚の蔓延があったのでしょう。
そんな中で「団体自治」の担い手の中心として行政や議会、首長の役割が大きく取り上げられ、なかなか「住民自治」という部分に光が当たらなかったのではないかと感じています。市長時代の私の「市民協働」という視点は、この「住民自治」を活性化させ、「団体自治」の担い手と共にいのち・暮らしを守る主体としての自治体のありようを探るものでした。
地方自治の概念は明治憲法にはありませんでした。中央で決めたことに従っていればいい…そんな感じでしょうか。しかし、日本国憲法の下で戦後の大阪は「いのちと暮らし」を守るために様々な施策を展開し国が後追いした事実を市長になって知りました。マスコミにいたことがありながら、地味な取り組みなどを取材・放送する機会自体が少なかったのだとも感じました。
戦前ですが、關一第7代大阪市長は「大大阪」と呼ばれる時代を牽引したことで知られています。地下鉄・御堂筋を作ったという面だけが強調されているようですが、去年の7月から4回連続で私たちが取り組んだ、立命館大学の森裕之教授の学習会で触れられた「關時代」の先駆性には目を見張るものがありました。自らを「社会改良主義者」と位置付けたこの偉大な先人の知恵が、大阪という街の深層に今も流れていると信じたいです。森先生のレジュメから關一さんの言葉を引用します。
【「将来の計画中に定めるべき一本の街路にも、一つの小公園にも、一つの理想、一つの指導原理によって貫かれた方針がなければならない。…成功すべき都市計画は実に偉大なる人物の思想の産物であり、同時にまた現代思潮の産物ということができる。」(關一『都市政策の理論と実際』)】
思想、指導原理という言葉の裏に必ず「暮らす人」の姿が浮かんでくる。そんな思いを実現できるのが行政であり、格差拡大社会の中で心に留めるべきものだと思います。
おおさかスポット(写真解説) 大阪天満宮(大阪市北区)
いわずと知れた天神祭の天満宮。「あきない」の町、天神橋筋商店街のすぐ東側にある。敷地には市民の力で建てられた天満天神繁昌亭が、上方落語の席亭として賑わいを増している。逞しい大阪の象徴でもある。