大阪ウォッチング7

2016.04.10

4月10日号「大阪民主新報」への寄稿です。題して「儲けんでええを灯りに」です。紙面の画像と共にいつものようにテキストを貼り付けます。

大阪ウォッチング7

前回に続いて「公共」というものをどう捉えるかという話です。大阪市長を経験していなければこの紙面で様々なコメントを発表することもなかったでしょうね。何をいまさら…そんな声が聞こえそうですが、自分自身を振り返って「政治」というものに主体的に関わろうという思いはありませんでした。それまでのキャスターの経験から「行政」をどこか外野から見守るという形や、研究対象として捉えていたかも知れません。

民放にいた私は、そうした第三者的な姿勢というのが染みついていたのでしょうか。ところが役所に入って多数の公務員の「社長」になり、また、地域を走り回りお会いした人たちの「この街のために」という貴重な活動に触れ、「行政のトップ」になってから目覚めた部分が非常に多かったです。(遅いなぁというお叱りは承知です)

「無駄はあかん」「公務員天国もあかん」「財政は厳しい」「負の遺産は山ほどある」…がんじがらめに見えた大阪市の状況ではありますが、「公共であるからこそ」という部分を多くの人たちから教わり目の前の霧が晴れる思いでした。

民間から入ったというと、今を時めく「民営化路線」の延長のように聞こえるかもしれませんが、簡単な「儲けんでええねんで」というひとことが、迷っていた私に道筋を照らす灯りになりました。大阪市のような大都市の場合は、収めていただいた税を地域経済や、圏域の発展も考えながら「住み心地良き都市」(第7代大阪市長關一さんの目指した理想像)を目指すことに使わせてもらえる。それも情報公開制度の中で説明責任を果たし、議会との議論を積み重ね、多数決だけではない落としどころを探ることに大きなやりがいを感じたものです。

今、大阪市は大阪維新の会の首長、議会第一党という勢力の下で、様々な民営化路線を推し進めようとしています。一連の動きが本当に市民のためになるのか。大阪経済の発展に寄与するのか。今出ている情報だけでは私には定かにはわかりません。

人口減少社会に入った日本。多くの人たちが日々の暮らしに精一杯。そんなときだからこそ、公共の果たすべき役割をもう一度捉えなおす必要があると思います。成長を追い求めるよりも具体的な課題にきちんと大胆に対応していく。同時に中央では見えていないものを発信していくことこそが地方自治の姿だと思います。「大阪」のええとこをとことん追求し、それを「誇り」に思えるような街に住みたいものです。

紙面左側の「私の大阪スポット」は靭公園。
コメントは【「靭公園に行かれたことがありますか。都市公園という名に相応しく、西区の高層マンションの隙間、狭間にあるように見えて、実際に足を踏み入れると市内中心部では考えられない「オゾン」を感じます。」】です。