安倍総理って…

2016.12.28

先日、SNSで「内田樹の研究室」12月7日にアップされた赤旗インタビューロングバージョンをご紹介した。

安倍総理の支持率の高さは様々な調査で紹介され、彼が何をしてきたのか、どんな政治家なのかというより、単に長期政権の側面などが紹介される。しかし、内田さんのいうように今の自民党政府が目指しているもの、あるいはやってきたことというのは「普通に」考えれば山ほど問題があると感じる。
【安保法制、改憲、原発再稼働、TPP、南スーダン派兵、カジノ合法化、どれをとっても「なぜ今そんなことを慌ててやらなければいけないのか」理由がわからないことばかりです。】(上記ロングバージョンから)

短い列挙だけでも内田さんが言うように「どれをとっても」状態である。
私が決定的に「この人は信じられない」と思ったのは2013年9月のオリンピック招致が決まった際の演説である。福島原発事故に触れ、「汚染水による影響は、福島第一原発の港湾内の0.3平方キロメールの範囲内で完全にブロックされている。」という発言だ。テレビで見ていて思わず椅子からずり落ちそうになった。現地の状況がどうなっているのかなど彼の頭によぎることがあるのだろうか。

オリンピック招致のために総理自らが出かけて海外が一番心配している「放射能汚染」について、その安全性を「保証」したことが「東京五輪」決定の決め手になったようだ。海外メディアもその辺りを評価するコメントが多かったという。反応記事など) でも、本当に完全にブロックされていると信じての発言だろうか。

議会制民主主義では議席の多寡が決定的な要因としてある。しかし、この間の自民・公明政権がやってきたことは前述のように「力任せ」に突き進む姿勢しか感じられない。

安倍総理の国会答弁などを見ていても、「きちんと議論しない人だな」とか「聞かれたことに答えない」という印象を持っていた。同じ思いの人も多いのではないか。こうした政治手法の危険性は、これまた多くの人が指摘してきたが、残念ながら大マスコミの論調には殆どみられない。

総理の話し方を見ていて、「どこまで問題の本質を理解されているのだろうか」と感じることも多い。不必要な間…「えー」「…ですね」などを多発する。いちいち原稿に目を通さなくても政治信念というものがあるなら、質問者の顔や目を見て話せるはずのことでも、どこか「自らの思い」というものの芯が見えない。

海外への莫大なバラマキ外交。それをまとめたFBページを見て、「先進国として途上国支援に協力するのは当然だ」と思っていても、今の1000兆円を超える借金を抱えた国がなんでそこまで背伸びしなければならないのかというのが正直なところだ。

お金だけはあるボンボンが、周りの有象無象にいじめられないために、「はいこれもあるよ、これもいいよ」といいながら、自分に降りかかる災難から逃れたい一心で大きな視点というのを持ち合わせていない…こう考えれば安倍総理という人がどうしてこんなに世界各国を駆け回り、日本が戦争できる国になるために一心不乱に動いているのかのヒントになるのではないかと気づいた。そんな人が日本の代表で、多くの支持を集め、自民党にはこうした指摘をする勇気ある人材も見当たらない。

対露交渉しかり、今、日本の外務省の高官はこの国がどうあるべきかという視点を持ち合わせているのだろうか。そして、今日真珠湾を訪れた安倍総理の立ち位置がどこにあるのか。そこで述べられた言葉にどれだけの重みがあるのか。単に「トランプ次期大統領に慌てて会いに行ったバツの悪さを糊塗するために」…それをうがった見方というには、余りにも定見のない外交に見えるのだが。この政権が長引けば長引くほど日本という国の将来が暗くなる気がする。